「評価しない評価制度」を理解するうえで、とても大切な考え方があります。
それが、「強化」と「弱化」という行動の原則です。
少し難しそうな言葉ですが、実は私たちは毎日、この原則の中で生活しています。
例えば、
- 「ありがとう」と言われると、また手伝いたくなる。
- 努力したことを認めてもらえると、次も頑張ろうと思う。
- 反対に、一生懸命やったのに何も反応がなければ、次第にやらなくなる。
これは偶然ではありません。
人は、「行動した後に何が起きたか」によって、次の行動を決めているのです。
この考え方を人材育成に取り入れたものが、「評価しない評価制度」です。
「評価しない評価制度」の話をすると、
「なぜ評価をやめても、人は成長するのですか?」
という質問をいただくことがあります。
その答えを理解するために、とても参考になるのが、
応用行動分析学(Applied Behavior Analysis:ABA)
という考え方です。
難しい名前ですが、考え方はとてもシンプルです。
人は、行動した後に起きた結果によって、次の行動を変えていく。
これが応用行動分析学の基本的な考え方です。
実は、この考え方が、「評価しない評価制度」の土台になっています。
「評価しない評価制度」を説明すると、多くの方からこんな質問をいただきます。
「評価をしないなら、本当にその人が行動したことを、どうやって確認するのですか?」
確かに、その疑問はもっともです。
評価しない評価制度では、日々の行動を振り返るためにパフォーマンス・フィードバックを行います。
しかし、その記録が本人だけの自己申告だったらどうでしょう。
「本当にそうだったのだろうか。」
「少し良く書いているのではないか。」
そんな疑問が生まれるかもしれません。
そこで重要になるのが、「行動の所産(Products of Behavior)」という考え方です。
「評価しない評価制度」で最も大切なことは何ですか、と聞かれると、私はいつもこうお答えしています。
「評価のスキル」よりも、「記録のスキル」です。
従来の評価制度では、「どのように評価するか」が重要でした。
しかし、「評価しない評価制度」では、「どのように行動を記録し、振り返るか」が制度の中心になります。
なぜなら、人は記憶ではなく、事実をもとに振り返ることで成長できるからです。
今回は、「パフォーマンス・フィードバック」の記録方法についてご紹介します。
「評価しない評価制度」の中核となるのが、
パフォーマンス・フィードバックです。
評価しない評価制度では、
人を変えるために評価を行うのではありません。
パフォーマンス・フィードバックを通じて、行動を「見える化」し、自ら気づき、自ら成長することを支援します。
「評価しない評価制度」を理解するうえで、とても重要な言葉があります。
それが、
- 成果
- 行動
- パフォーマンス
です。
一見すると似ている言葉ですが、実は意味が大きく異なります。
この違いを理解しないまま制度を運用すると、
結局は従来の評価制度と同じように、
- 売上だけを見る
- 結果だけを追う
- 点数をつける
という運用になってしまいます。
そこで今回は、
「成果」「行動」「パフォーマンス」の違いについて、できるだけわかりやすく整理してみたいと思います。
「評価しない評価制度」と聞くと、
「評価をしないなら、社員をどう育てるのですか?」
という質問をいただくことがあります。
その答えとなるのが、「パフォーマンス・フィードバック」です。
評価しない評価制度では、年に一度や半年に一度の評価で社員を判断するのではなく、日々の仕事の中で行動を振り返り、成長を支援していきます。
つまり、「パフォーマンス・フィードバック」とは、「行動事実の振り返り」のことです。
「評価しない評価制度」の話をすると、多くの経営者や管理職から次のような質問をいただきます。
「評価をしないなら、昇格はどうやって決めるのですか?」
「誰をリーダーにするかは、会社が決めるのではないのですか?」
確かに、従来の人事評価制度では、
- 評価点が高い
- 評価ランクが良い
- 上司が推薦する
という流れで昇格が決まることが一般的でした。
しかし、この方法には一つの問題があります。
それは、「本人が本当にその役割をやりたいのか分からない」ということです。
そこで「評価しない評価制度」では、昇格を会社が一方的に決めるのではなく、
本人が自ら上の役割に挑戦する「チャレンジ制度」を採用します。
「評価しない評価制度」の話をすると、よくいただく質問があります。
「評価をしないで、その人の能力は分かるのですか?」
「適性はどうやって見極めるのですか?」
確かに、従来の人事評価制度では、
- 評価点
- 評価ランク
- 能力評価
によって、人を判断しようとしてきました。
しかし実際には、評価点が高い人が必ずしも活躍するとは限りませんし、評価点が低い人が能力不足とも限りません。
なぜなら、人の能力や適性は、一度の評価では見えないからです。
そこで「評価しない評価制度」では、評価によって人を判断するのではなく、パフォーマンス・フィードバックを通じて、その人の能力や適性を見極めていくという考え方を取ります。
「評価しない評価制度」の話をすると、よくいただく質問があります。
「評価しないなら、本人に何を伝えればよいのですか?」
「評価がなければ、社員のやる気は下がらないのでしょうか?」
確かに、多くの会社では、
- 評価結果を伝える
- 評価点を伝える
- ランクを伝える
ことが、上司と部下の面談の中心になっています。
しかし考えてみると、社員が本当に知りたいのは、
「自分は何ができていて、これから何をすればよいのか」ではないでしょうか。
そこで「評価しない評価制度」では、評価結果を伝える代わりに、
パフォーマンス・フィードバックを行います。
これは、人を評価するためではなく、人の成長を支援するための対話です。