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「パフォーマンス・フィードバック」の記録方法とは?

「パフォーマンス・フィードバック」の記録方法とは?

――人を評価するためではなく、人を成長させるために記録する――

「評価しない評価制度」で最も大切なことは何ですか、と聞かれると、私はいつもこうお答えしています。
「評価のスキル」よりも、「記録のスキル」です。
従来の評価制度では、
「どのように評価するか」
が重要でした。
しかし、「評価しない評価制度」では、
「どのように行動を記録し、振り返るか」
が制度の中心になります。
なぜなら、人は記憶ではなく、事実をもとに振り返ることで成長できるからです。
今回は、「パフォーマンス・フィードバック」の記録方法についてご紹介します。

なぜ記録が必要なのか

私たちは仕事をしていると、
毎日たくさんの出来事を経験します。
しかし、一週間もすると、
「あの時、何をしていたかな?」
と思い出せなくなることも少なくありません。
半年後や一年後の評価面談では、なおさらです。
そのため、
評価しない評価制度では、
日々の行動を、その都度記録すること
を大切にしています。
記録があることで、
  • 成長したこと
  • 続けられていること
  • 改善が必要なこと
を事実にもとづいて振り返ることができます。

記録には2つの方法がある

パフォーマンス・フィードバックでは、
記録方法を大きく二つに分けて考えます。
それが、
  • 他者記録
  • 自己記録
です。

① 他者記録とは

他者記録とは、
周りの人が行動を見て記録する方法です。
例えば、
道路の速度を測る機械を想像してください。
運転している人は、
自分で速度を記録しているわけではありません。
機械が測定し、
「昨日は94%の車が速度超過でした」
という事実だけを知らせています。
ここには、
「もっと気を付けなさい」
という評価も、
「あなたは悪い」
という批判もありません。
あるのは、事実だけです。
すると、多くの人は、
その事実を見て自分で運転を見直します。
これが他者記録の考え方です。

職場での他者記録

例えば、上司や先輩が、こんなことを記録します。
  • お客様への声掛けができていた
  • 会議で自分から意見を出していた
  • 困っている人を手伝っていた
ここでも大切なのは、
評価を書くことではありません。
「○○していた」
という事実を書くことです。

② 自己記録とは

もう一つが、
自己記録です。
これは、
自分自身で自分の行動を記録する方法です。
例えば、
今日のテーマを、
「笑顔でお客様に自分から声を掛ける」
と決めたとします。
すると、
10時から10時30分までの間に、
何回できたかを記録します。
あるいは、
  • お客様へ自分から挨拶した回数
  • 改善提案を行った回数
  • 仲間へ声を掛けた回数
などでも構いません。
ここでも重要なのは、
「頑張った」
ではなく、
実際に何回できたか
という事実を書くことです。

なぜ自己記録が効果的なのか

人は、
誰かに言われるよりも、
自分で気づいたことの方が行動を変えやすいものです。
例えば、
毎日歩数計を見ていると、
「今日は少し歩こうかな」
と思うことがあります。
誰かに叱られたわけではありません。
数字を見ただけです。
仕事も同じです。
自分で記録することで、
自然と行動が変わり始めます。

他者記録と自己記録を組み合わせる

評価しない評価制度では、
この二つを組み合わせることをおすすめしています。
例えば、
本人は自己記録を行い、
上司は他者記録を行います。
その後、
振り返りの場で、
お互いの記録を見ながら話し合います。
すると、
「自分では気づかなかった強み」や、
「もっと伸ばせそうな点」
が見えてきます。

経営計画とのつながり

経営計画

記録する内容は、
会社が目指す方向と一致していることが大切です。
例えば、
経営計画で、「お客様との信頼関係を深める」ことを掲げているなら、
記録する内容も、
  • お客様への声掛け
  • 約束を守れたか
  • 感謝を伝えられたか
などになります。
つまり、
経営計画を毎日の行動へ落とし込むために、
記録を活用するのです。

ワークルールブックとのつながり

ワークルールブック

ワークルールブックには、
会社が大切にしたい行動が書かれています。
例えば、
  • 迷ったらお客様を優先する
  • 仲間を尊重する
  • 約束を守る
といった内容です。
記録する内容も、
これらの行動と一致させます。
すると、
ワークルールブックは、
「読むだけの本」ではなく、
毎日の仕事で実践するための基準になります。

良い記録のポイント

パフォーマンス・フィードバックでは、
次の4つを意識すると記録が続きやすくなります。

① 事実だけを書く

「頑張った」ではなく、
「お客様へ3回自分から声を掛けた」
と書く。

② 小さな行動を書く

大きな成果ではなく、
毎日続けられる行動を記録する。

③ すぐに書く

時間が経つと記憶はあいまいになります。
仕事の直後や、その日の終わりに書くことがおすすめです。

④ 振り返るために書く

記録は保存するためではありません。
次の行動につなげるために書きます。

まとめ

「評価しない評価制度」では、
評価よりも記録を重視します。
その理由は、
人を点数で判断するためではなく、
人の成長を支援するためです。
記録には、
他者記録自己記録があります。
他者記録は、
周囲が事実を記録する方法。
自己記録は、
自分自身で行動を振り返る方法です。
この二つを組み合わせることで、
評価ではなく、
気づきが生まれます。
そして、その気づきが、
次の行動を変え、
やがて大きな成長につながっていくのです。

一言で言うと

評価しない評価制度では、記録は人を評価するためではありません。
人が自分の行動に気づき、自ら成長するために記録するのです。
だからこそ、「評価のスキル」よりも「記録のスキル」が、制度を成功させる最も大切な力になるのです。