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【評価しない評価制度】「行動の所産」とは何か?

【評価しない評価制度】「行動の所産」とは何か?

――評価ではなく、「行動の証拠」を見れば人は育つ――

「評価しない評価制度」を説明すると、多くの方からこんな質問をいただきます。
「評価をしないなら、本当にその人が行動したことを、どうやって確認するのですか?」
確かに、その疑問はもっともです。
評価しない評価制度では、日々の行動を振り返るためにパフォーマンス・フィードバックを行います。
しかし、その記録が本人だけの自己申告だったらどうでしょう。
「本当にそうだったのだろうか。」
「少し良く書いているのではないか。」
そんな疑問が生まれるかもしれません。
そこで重要になるのが、
「行動の所産(Products of Behavior)」
という考え方です。

行動の所産とは何か

行動の所産とは、
その行動が実際に行われたことを示す「痕跡」「成果物」「証拠」のことです
つまり、
「私はやりました。」
という言葉だけではなく、
その行動が残した形を見るという考え方です。

なぜ「行動の所産」が必要なのか

評価しない評価制度では、
自己記録を多く活用します。
自分で、
  • 今日できたこと
  • 行ったこと
  • 工夫したこと
を記録することは、とても大切です。
しかし、
自己記録には一つだけ弱点があります。
それは、「信頼性」です
本人に悪気はなくても、
  • 思い違い
  • 記憶違い
  • 少し良く見せたい気持ち
が入ることがあります。
そこで、
自己記録だけではなく、
行動の所産を確認することで、
「実際にその行動が行われたこと」を客観的に確認できるようになります。

「行動」と「行動の所産」は違う

ここで区別したいのは、
「行動」と「行動の所産」は同じではないということです。
例えば、
営業担当者が、
「お客様へ提案しました。」
と言ったとします。
これは行動です。
では、その提案書が保存されていたらどうでしょう。
これは、
行動の所産になります。
つまり、
行動の所産とは、
行動があったことを示す証拠なのです。

行動の所産の具体例

職場には、意外と多くの「行動の所産」があります。
例えば、営業であれば、
  • 提案書
  • 見積書
  • お礼のメール
  • 商談記録
接客であれば、
  • お客様アンケート
  • 感謝のメッセージ
  • 接客記録
事務であれば、
  • 作成した資料
  • 業務マニュアル
  • 改善提案書
管理職であれば、
  • 面談記録
  • 会議資料
  • 部下へのフィードバック記録
これらはすべて、「行動した証拠」です。
だからこそ、評価ではなく、
事実をもとに対話することができます。

行動の所産は「成果」とは違う

ここで誤解してはいけないのは、
行動の所産は、
成果そのものではないということです。
例えば、
提案書を作ったからといって、
契約になるとは限りません。
契約は、
お客様の事情や市場環境にも左右されます。
しかし、
提案書を作成したことは、
自分自身の行動によって残されたものです。
つまり、
成果には運や環境が影響しますが、
行動の所産は、
自分自身で生み出せるものなのです。

パフォーマンス・フィードバックとの関係

評価しない評価制度

評価しない評価制度では、
パフォーマンス・フィードバックを行います。
そのとき、
「頑張りました。」
という感想だけではなく、
行動の所産を見ながら振り返ります。
例えば、
「この提案書は、お客様の課題がよく整理されていますね。」
「この会議資料は、チームが判断しやすい内容になっています。」
このように、
行動の結果として残ったものをもとに対話することで、
評価ではなく、
具体的な成長支援ができます。

経営計画とのつながり

経営計画

会社には、
目指す姿があります。
例えば、
「お客様から最も信頼される会社になる」
という経営計画を掲げているとします。
すると、
行動の所産も、
その目的につながるものになります。
例えば、
  • お客様からの感謝のメール
  • 改善提案書
  • クレーム対応の記録
  • お客様との打ち合わせ記録
などです。
つまり、
経営計画で目指す方向が、
実際の仕事の中で形になっているかを確認できるのです。

ワークルールブックとのつながり

ワークルールブック

ワークルールブックには、
会社が大切にしたい考え方や行動が書かれています。
例えば、
  • 約束を守る
  • 相手の立場で考える
  • 仲間を支援する
という内容です。
これらは、
「守っています」と言うだけでは十分ではありません。
例えば、
  • 約束どおりに提出された報告書
  • 仲間を支援した記録
  • 改善のための提案書
など、
行動の所産を見ることで、
会社が大切にしている価値観が、
実際の行動として表れていることを確認できます。

「行動の所産」があると評価はいらなくなる

従来の評価制度では、
上司の印象や記憶が評価に大きく影響することがありました。
しかし、
行動の所産が残っていれば、
「できていた」「できていなかった」を感覚で判断する必要がありません。
事実を見ながら、
一緒に振り返ることができます。
つまり、
評価するためではなく、成長を支援するために証拠を残す
これが、「評価しない評価制度」の考え方です。

まとめ

「行動の所産」とは、
行動が実際に行われたことを示す痕跡や成果物、証拠のことです。
自己記録だけでは見えにくい部分を、
行動の所産が補うことで、
より客観的で納得感のあるパフォーマンス・フィードバックが実現できます。
その流れは、とてもシンプルです。
経営計画で目指す方向を示す
ワークルールブックで行動の基準を共有する
行動の所産を日々積み重ねる
パフォーマンス・フィードバックで事実を振り返る
社員が自ら気づき、成長する
これが、「評価しない評価制度」が目指す人材育成の仕組みです。

一言で言うと

「行動の所産」とは、行動した証拠です
人を評価するための証拠ではなく、人の成長を支援するための証拠
評価しない評価制度は、人ではなく「事実」を見て対話する制度なのです