「評価しない評価制度」で、どうやって能力や適性を見極めるのか?
――評価ではなく、日々の行動と対話の中に答えがある――
「評価しない評価制度」の話をすると、よくいただく質問があります。
「評価をしないで、その人の能力は分かるのですか?」
「適性はどうやって見極めるのですか?」
確かに、従来の人事評価制度では、
-
評価点
-
評価ランク
-
能力評価
によって、人を判断しようとしてきました。
しかし実際には、
評価点が高い人が必ずしも活躍するとは限りませんし、評価点が低い人が能力不足とも限りません。
なぜなら、
人の能力や適性は、一度の評価では見えないからです。
そこで「評価しない評価制度」では、評価によって人を判断するのではなく、
パフォーマンス・フィードバックを通じて、その人の能力や適性を見極めていくという考え方を取ります。
能力や適性は「評価表」では分からない
従来の評価制度では、
-
リーダーシップ
-
協調性
-
主体性
といった項目を評価することがあります。
しかし実際には、同じ「主体性」という言葉でも、評価する人によって受け取り方が違います。
そのため、「能力を評価しているつもりが、印象を評価している」ということが起こりやすくなります。
一方で、評価しない評価制度では、
能力や適性を判断するために、まず行動を見ます。
行動を見ると、その人らしさが見えてくる
例えば、同じ営業担当者でも、
ある人は、
-
初対面のお客様とすぐに打ち解ける
一方で、別の人は、
-
相手の話を丁寧に聞きながら信頼を築く
ということがあります。
どちらも成果を出しているかもしれません。
しかし強みは違います。
つまり、能力や適性は、日々の行動の中に現れるのです。
パフォーマンス・フィードバックで見えてくること
評価しない評価制度では、パフォーマンス・フィードバックを繰り返し行います。
そこで確認するのは、結果だけではありません。
例えば、
-
なぜそう判断したのか
-
何を優先したのか
-
どのように行動したのか
を聞いていきます。
すると、その人の
-
考え方
-
判断の特徴
-
得意なこと
-
苦手なこと
が見えてきます。
本人も気づいていない強みが見えてくる
能力や適性というのは、本人が自覚しているとは限りません。
例えば、本人は営業が得意だと思っていても、
実際には、
-
人を育てるのが上手
-
調整役が得意
-
問題解決が得意
ということがあります。
パフォーマンス・フィードバックを続けることで、上司や本人が、「実はこの人の強みはここにあるのではないか」と気づけるようになります。
経営計画とのつながり
経営計画
能力や適性は、会社が目指す方向と切り離して考えることはできません。
例えば、
経営計画で「お客様との信頼関係を強化する」ことを重視しているなら、
その実現に貢献している行動を見る必要があります。
すると、
-
丁寧に話を聞く人
-
相手の気持ちを理解する人
-
信頼関係を築く人
の価値が見えてきます。
つまり、能力とは単なるスキルではなく、「会社が目指す方向にどう貢献できるか」という視点で見ていくことが大切なのです。
ワークルールブックとのつながり
ワークルールブック
適性を見極めるためには、会社としての判断基準も必要です。
その役割を果たすのが、ワークルールブックです。
例えば、ワークルールブックに、
-
迷ったらお客様を優先する
-
仲間への支援を大切にする
と書かれているとします。
すると、パフォーマンス・フィードバックでは、「この人はどのような場面で、その考え方を実践しているか」を見ることができます。
その積み重ねによって、能力だけでなく、その人らしい価値の発揮の仕方も見えてきます。
適性は「できること」ではなく「自然にできること」
ここで大切なのは、能力と適性は少し違うということです。
能力は、努力によって身につけることができます。
しかし適性は、「本人が比較的自然にできること」に現れます。
例えば、
-
人と話すことが好き
-
数字を分析するのが好き
-
教えることが好き
-
仕組みを考えるのが好き
などです。
パフォーマンス・フィードバックを続けると、その人が、どんなときに生き生きと働いているかも見えてきます。
そこに適性のヒントがあります。
評価しない評価制度が目指すもの
評価しない評価制度は、人を分類する制度ではありません。
目指しているのは、「この人は何ができないか」を探すことではなく、「この人はどこで力を発揮できるか」を見つけることです。
そのために、
経営計画
会社が目指す方向を示す
↓
ワークルールブック
判断基準を共有する
↓
パフォーマンス・フィードバック
行動と考え方を振り返る
↓
能力と適性の発見
強みを活かす役割を考える
という流れをつくります。
まとめ
「評価しない評価制度」では、能力や適性を評価表で判断しません。
日々の行動や対話を通じて、
-
何が得意なのか
-
どんな考え方をするのか
-
どんな場面で力を発揮するのか
を見ていきます。
そして、その人の強みを活かせる役割や成長の方向を一緒に考えていきます。
一言で言うと
能力や適性は、評価によって見極めるものではない。
日々の行動と対話の積み重ねによって見えてくるものである。
それが、「評価しない評価制度」における能力・適性の考え方です。
