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【評価しない評価制度】における行動の消去を防ぐ方法

【評価しない評価制度】における行動の消去を防ぐ方法

――良い行動が、いつの間にか消えてしまう職場にしないために――

「最初はやってくれていたのに、いつの間にかやらなくなった。」
職場では、こんなことがよくあります。
例えば、
  • 最初は積極的に改善提案をしていた
  • 困っている仲間に声を掛けていた
  • お客様への丁寧な対応を心掛けていた
ところが、しばらくすると、その行動が少しずつ減っていく。
本人のやる気がなくなったのでしょうか。
もちろん、そういう場合もあります。
しかし、別の見方があります。
それが、
行動の「消去」
という考え方です。
「評価しない評価制度」で使うパフォーマンス・フィードバックは、実は、この「消去」が起きにくくなるようにするための仕組みでもあります。

行動の「消去」とは何か

少し難しい言葉ですが、考え方はとてもシンプルです。
例えば、ある社員が困っている同僚を手伝ったとします。
ところが、
誰にも気づかれない。
何も言われない。
むしろ、自分の仕事だけが遅れてしまう。
これが何度も続いたらどうでしょうか。
その社員は、
「やっても意味がないな」
と思うようになるかもしれません。
そして、少しずつ助ける行動をしなくなっていきます。
これが「消去」です。
つまり、
行動しても、本人にとって良いことが起きない。
あるいは、困っていたことが何も変わらない。
その結果、その行動が繰り返されなくなる。
ということです。

良い行動だからといって、自然に続くわけではない

ここは非常に重要です。
会社にとって良い行動だからといって、その行動が自然に続くとは限りません。
例えば、
  • 改善提案をする
  • 新しいことに挑戦する
  • 仲間を支援する
  • お客様のためにひと手間かける
こうした行動は、会社にとって大切です。
しかし、行動した後に何の反応もなければ、
本人にとっては、
「やっても、やらなくても同じ」
になってしまいます。
すると、せっかくの良い行動が静かに消えていきます。
実は、職場で本当に怖いのは、
「悪い行動が増えること」だけではありません。
良い行動が、誰にも気づかれないまま消えてしまうことなのです。

パフォーマンス・フィードバックが「消去」を防ぐ

評価しない評価制度

そこで重要になるのが、
パフォーマンス・フィードバックです。
評価しない評価制度では、半年後や一年後にまとめて評価するのではありません。
日々の仕事の中で、
  • どんな行動があったか
  • その行動が何につながったか
  • 会社としてどんな意味があるか
をこまめに振り返ります。
例えば、
社員が困っている仲間を助けたとします。
そのときに、
「さっきのフォローで、チーム全体の仕事が止まらずに済みましたね。」
と伝える。
これだけでも、
本人は、
「自分の行動には意味があった」
と気づくことができます。
すると、
その行動は次も繰り返されやすくなります。
つまり、
パフォーマンス・フィードバックは、
良い行動を見つけ、その意味を本人に返すことで、行動が消えてしまうのを防ぐ仕組みなのです。

「ほめる」ことだけが目的ではない

ここで誤解してはいけないのは、
パフォーマンス・フィードバックは、
単に社員をほめるための仕組みではないということです。
例えば、
「すごいね」
「頑張ったね」
だけでは、
本人は何を続ければよいのか分かりません。
大切なのは、
具体的な行動を伝えることです。
例えば、
「お客様の話を最後まで聞いていましたね。」
「その結果、お客様が本音を話してくださいましたね。」
このように、
行動と、その後に起きた結果を結び付けて伝える
これによって、
本人は、
「次もこの行動を続けよう」
と考えやすくなります。

経営計画とのつながり

経営計画

では、どんな行動を消去させずに残していけばよいのでしょうか。
その答えは、
経営計画の中にあります。
例えば、経営計画で、
「お客様から最も信頼される会社になる」
という方向を掲げているとします。
すると、残したい行動は、
  • 約束を守る
  • お客様の話を最後まで聞く
  • 困りごとに早く対応する
といった行動になります。
つまり、
経営計画は、
「会社として、どんな行動を残し、増やしたいのか」を決める出発点
でもあるのです。

ワークルールブックとのつながり

ワークルールブック

経営計画で方向を決めたら、
次に、
その方向に沿った行動を分かりやすく言葉にします。
その役割を担うのが、
ワークルールブックです。
例えば、
  • 約束を守る
  • 相手の立場で考える
  • 仲間を支える
と書かれていたとします。
しかし、書いてあるだけでは行動は続きません。
実際にその行動ができたとき、
パフォーマンス・フィードバックで、
「今の行動は、ワークルールブックにある『仲間を支える』そのものでしたね。」
と伝える。
すると、
ワークルールブックに書かれた言葉が、
日々の行動と結び付いていきます。
つまり、
ワークルールブックは行動の方向を示し、
パフォーマンス・フィードバックは、その行動が消えないように支えるのです。

「消去」を防ぐために大切なこと

行動の消去を防ぐためには、
大きな仕組みよりも、日々の小さな反応が大切です。
特に意識したいのは、次の3つです。

① 良い行動を見逃さない

結果が出たときだけではなく、
その途中にある良い行動にも気づくことです。

② できるだけ早く伝える

半年後ではなく、
できればその日、その場で伝えます。
時間が近いほど、
本人はどの行動のことか理解しやすくなります。

③ 行動の意味まで伝える

「良かった」で終わらず、
「その行動が、なぜ会社にとって大切なのか」
まで伝えます。
これによって、
経営計画やワークルールブックと日々の仕事がつながっていきます。

評価しない評価制度は「良い行動を残す制度」

従来の評価制度では、
半年後や一年後に、
結果をまとめて評価することが中心でした。
しかし、その間に、
会社にとって大切な行動が誰にも気づかれず、消えてしまうことがあります。
だからこそ、
評価しない評価制度では、
日々の行動をこまめに振り返ります。
そして、
  • どんな行動があったか
  • どんな良い結果につながったか
  • なぜその行動が大切なのか
を本人に返していきます。
この積み重ねによって、
良い行動が残り、
繰り返され、
やがて習慣になっていきます。

まとめ

行動の「消去」とは、
良い行動をしても何も良いことが起きなかったり、困りごとが解消されなかったりすることで、その行動が少しずつ行われなくなることです。
「評価しない評価制度」では、
この消去を防ぐために、
パフォーマンス・フィードバック
を活用します。
その流れは、とてもシンプルです。
経営計画で会社が目指す方向を示す
ワークルールブックで大切にする行動を明確にする
社員が実際に行動する
パフォーマンス・フィードバックで、その行動と結果を振り返る
行動の意味が本人に伝わる
良い行動が消えず、繰り返される
この積み重ねが、
人の成長だけでなく、
会社の理念や風土の定着にもつながっていきます。

一言で言うと

良い行動は、放っておいても続くわけではありません。
見つけて、伝えて、意味づけすることで、初めて残っていきます。
「評価しない評価制度」とは、パフォーマンス・フィードバックによって、会社にとって大切な行動が消えてしまうことを防ぎ、その行動を育てていく制度なのです。