【ワークルールブック】年5日の有給休暇取得を促す職場づくり
まず押さえておきたいのは、年次有給休暇が10日以上付与される労働者について、会社は基準日から1年以内に5日以上取得させる必要があるということです。
本人が自ら取得した日や計画的付与による取得も5日に含まれ、5日に達していない場合は会社による時季指定が必要になります。
ただし、ワークルールブックで取り組む場合は、法律の内容を書くだけでは十分ではありません。
大切なのは、
「年5日取得すること」をゴールにするのではなく、社員が安心して休める職場をつくることです。
1.まず「なぜ休暇を取るのか」を明確にする
ワークルールブックには、最初に目的を書きます。
例えば、
当社は、社員が心身ともに良い状態で働き続けることを大切にします。
そのため、年次有給休暇を計画的に取得し、仕事と休息のバランスを整えます。
このように書けば、「法律だから取る」から「良い仕事を続けるために休む」へ意味が変わります。
経営計画に「生産性向上」「人材定着」「働きやすい職場づくり」などがある場合は、そこにつなげて説明するとさらに分かりやすくなります。
2.「取得しよう」だけでなく、「取得できる行動」を書く
有給休暇が取りにくい会社では、制度そのものより、
-
仕事が一人に集中している
-
引き継ぎができない
-
周囲に遠慮して申請しにくい
-
上司自身が休まない
といった問題があります。
そこでワークルールブックには、例えば次のような行動を書きます。
・休暇は早めに予定し、チームで共有しよう
・自分が休んでも仕事が止まらないよう、情報を共有しよう
・仕事を一人で抱え込まず、誰でも分かる状態にしよう
・休暇を取る人を、チームで支えよう
・管理職は部下の取得状況を早めに確認しよう
つまり、「5日休む」という結果だけではなく、「5日休める職場をつくる行動」をルールにするのです。
3.「守りのルール」と「攻めのルール」に分ける
ワークルールブックでは、次のように整理すると分かりやすくなります。
守りのルール
年5日の年次有給休暇を確実に取得する。取得が進んでいない場合は、会社が早めに確認して対応する。
攻めのルール
休暇を取りやすくするために、仕事の共有、引き継ぎ、助け合いを進める。
この「攻めのルール」が重要です。
年5日取得だけを管理すると、毎年期限直前に慌てて休ませるだけになりかねません。
それでは職場は変わりません。
「休める会社」は、「誰かが休んでも仕事が回る会社」です。
ここまで踏み込んでこそ、ワークルールブックを使う意味があります。
4.A4一枚評価制度では「休んだ日数」ではなく
「休める職場をつくる行動」を見る
年次有給休暇を取得したこと自体を評価する必要はありません。
むしろA4一枚評価制度では、
-
情報共有ができている
-
引き継ぎができる
-
仕事を属人化させていない
-
周囲と協力している
-
計画的に仕事を進めている
といった行動を評価します。
例えば、
ワークルールブック
「自分が休んでも仕事が止まらないよう、日頃から情報を共有しよう」
↓
A4一枚評価制度
「チームワーク」「計画性」「情報共有」などで評価する
というつながりです。
これにより、
休暇取得を邪魔している仕事の抱え込みを減らし、休みやすい職場風土を育てる
ことができます。
5.管理職の行動もルール化する
実は、有給休暇の取得を進めるうえで最も重要なのは管理職です。
管理職が、
「忙しいのに休むの?」
という雰囲気を出せば、制度は機能しません。
反対に、
「早めに予定を教えてください。みんなで調整しましょう」
と言えば、取得しやすくなります。
そのため、ワークルールブックには管理職向けに、
・取得状況を定期的に確認する
・取得が遅れている社員には早めに声をかける
・休暇取得を理由に不利益な見方をしない
・自らも計画的に休暇を取得する
といった行動を示すと効果的です。
なお、会社が時季指定する場合は、本人の意見を聴き、できる限り希望を尊重することが求められています。
まとめ
ワークルールブックで年5日の年次有給休暇取得に取り組む場合、
「5日取らせるためのルール」をつくるのではなく、「5日以上、安心して休める職場」をつくることが大切です。
整理すると、
経営計画
→ なぜ休める会社を目指すのかを示す
ワークルールブック
→ 休暇を取りやすくする具体的な行動を示す
A4一枚評価制度
→ 情報共有、協力、計画性など、その土台となる行動を認めて育てる
という関係になります。
法律を守ることはもちろん大切です。
しかし、その先にある「誰かが休んでも仕事が回る会社」をつくることこそ、ワークルールブックを活用する本当の価値だと思います。
