【経営計画】行動理念の定め方と具体化の手法
経営理念を「社員の日々の行動」に変える5つの視点
(経営計画 × ワークルールブック × A4一枚評価制度)
経営理念をつくり、基本方針を定めても、それだけでは会社は変わりません。
なぜなら、最後に会社を動かすのは、
社員一人ひとりの毎日の行動だからです。
そこで必要になるのが「行動理念」です。
行動理念とは、
経営理念の実現に向けて、社員が仕事に取り組むうえで、どのような考え方と行動を大切にするのかを示したものです。
つまり、経営理念が「何のために会社が存在するのか」を示すものだとすれば、行動理念は、
「その理念を実現するために、私たちはどう行動するのか」を示すものです。
■ なぜ行動理念が必要なのか
例えば、経営理念として、
「お客様と社員の幸せを通じて、地域社会に貢献する」と掲げたとします。
とても良い理念です。
しかし、社員からすると、
「では、お客様にどう接すればよいのか」
「仲間に対して何を大切にすればよいのか」
「会社のためにどのように行動すればよいのか」
までは分かりません。
だからこそ、経営理念と日々の仕事の間をつなぐ行動理念が必要になります。
■ 行動理念は「基本方針」から考える
行動理念を考えるときは、いきなり「誠実」「挑戦」「感謝」といった言葉を選ばないことが大切です。
まずは、基本方針を見ます。
基本方針で、
-
顧客に対して何を大切にするのか
-
商品・サービスで何を目指すのか
-
社員をどう育てるのか
-
どんな会社をつくるのか
-
社会や地域にどう貢献するのか
を定めたなら、
次に考えるのは、
「その基本方針を実現するために、社員はどう行動すべきか」ということです。
ここから行動理念をつくっていきます。
① 「顧客」に対する基本方針から行動を考える
例えば、顧客に対する基本方針が、
「お客様から最初に相談される会社になる」だとします。
では、そのために社員はどのように行動すればよいでしょうか。
例えば、
-
相手の話を最後まで聞く
-
約束を守る
-
すぐに返事をする
-
相手の立場で考える
-
一歩先を考えて提案する
といった行動が考えられます。
ここから、
「相手の立場で考え、期待を超える行動をする」という行動理念をつくることができます。
② 「商品・サービス」に対する基本方針から行動を考える
例えば、商品・サービスに対する基本方針が、
「常により良い商品・サービスを提供する」だとします。
そのために必要な行動は、
-
現状に満足しない
-
お客様の声を聞く
-
改善点を見つける
-
新しい方法を試す
-
品質に妥協しない
などです。
ここから、
「より良い方法を考え、改善を続ける」という行動理念につなげることができます。
③ 「社員」に対する基本方針から行動を考える
例えば、社員に対する基本方針が、
「お互いに成長を支え合える職場をつくる」だとします。
そのために必要な行動は、
-
仲間を助ける
-
情報を共有する
-
感謝を伝える
-
教え合う
-
相手の成長を応援する
などです。
ここから、
「仲間と助け合い、ともに成長する」という行動理念を定めることができます。
④ 「会社」に対する基本方針から行動を考える
例えば、会社に対する基本方針が、
「全員で考え、全員で成長する会社をつくる」だとします。
必要な行動は、
-
指示を待つだけでなく自ら考える
-
気づいたことを提案する
-
問題を抱え込まない
-
情報を共有する
-
会社全体を考えて行動する
などです。
ここから、
「自ら考え、周囲と協力して行動する」という行動理念が考えられます。
⑤ 「社会・地域」に対する基本方針から行動を考える
例えば、社会・地域に対する基本方針が、
「地域から必要とされる会社になる」だとします。
そのために必要な行動は、
-
地域の人とのつながりを大切にする
-
地域の行事に協力する
-
ルールやマナーを守る
-
会社の都合だけで考えない
-
地域に役立つことを考える
などです。
ここから、
「地域とのつながりを大切にし、社会に役立つ行動をする」という行動理念につながります。
■ 行動理念は多すぎない方がよい
行動理念をつくるときに、あれもこれも入れたくなることがあります。
しかし、多すぎると覚えられません。
行動理念は、
社員が日常で思い出せる数に絞ることが大切です。
3つから5つ程度にまとめると、現場でも使いやすくなります。
■ ワークルールブックで「具体的な行動」にする
行動理念をつくっても、それだけではまだ少し抽象的です。
そこで、ワークルールブックに落とし込みます。
例えば、
行動理念が、「相手の立場で考える」なら、
ワークルールでは、
-
相手の話を途中で遮らない
-
問い合わせには当日中に返事をする
-
約束したことは必ず守る
という具体的な行動にします。
つまり、
行動理念が「考え方」を示し、ワークルールブックが「日々の具体的な行動」を示すという関係です。
■ A4一枚評価制度で行動理念を育てる
さらに、A4一枚評価制度では、行動理念を評価項目にもつなげます。
例えば、
行動理念が、「自ら考え、行動する」なら、
評価項目として、
-
指示を待たずに行動している
-
改善提案を行っている
-
問題が起きたときに自分なりの考えを持っている
といった内容にします。
評価制度は社員を点数で比べるためではありません。
行動理念を実践できる人材を育てるための仕組みとして活用します。
■ 行動理念が機能している会社では何が起きるのか
行動理念が浸透すると、社員一人ひとりの判断が揃ってきます。
何か迷ったときに、
「この会社ならどうするか」
「私たちが大切にしている行動は何か」
を考えられるようになります。
その結果、
-
判断が早くなる
-
行動が揃う
-
教育しやすくなる
-
評価の基準が明確になる
-
組織の一体感が生まれる
という変化が起こります。
■ 経営理念から行動理念までを一本につなぐ
経営計画では、それぞれを別々につくってはいけません。
大切なのは、
経営理念
↓
基本方針
↓
行動理念
↓
ワークルールブック
↓
A4一枚評価制度
↓
社員の日々の行動
↓
経営理念の実現
という流れをつくることです。
この流れができると、経営理念は「社長が語る言葉」から「社員全員が実践する行動」へ変わります。
■ まとめ
行動理念とは、
経営理念を実現するために、社員全員に大切にしてほしい考え方と行動を示したものです。
つくるときは、基本方針の5つの視点から考えてみてください。
①顧客に対してどう行動するか
②商品・サービスをより良くするためにどう行動するか
③仲間や社員に対してどう行動するか
④会社の成長のためにどう行動するか
⑤社会・地域に対してどう行動するか
そして、行動理念をワークルールブックで具体的な行動にし、A4一枚評価制度で振り返りと育成につなげる。
ここまでできて初めて、行動理念は会社の文化になります。
経営理念は、行動されなければ実現しません。
だからこそ、行動理念は経営理念と社員一人ひとりの日常をつなぐ、とても重要な橋なのです。
