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【A4一枚評価制度】「評価者研修」から「共有ミーティング」へ

【A4一枚評価制度】「評価者研修」から「共有ミーティング」へ

制度を自分たちで育てる組織をつくる

「評価者研修は、毎年続けた方がよいのでしょうか?」
A4一枚評価制度を導入した当初は、評価者研修がとても重要です。
目標の立て方、部下との関わり方、評価の考え方など、評価者が身につけるべきことは少なくありません。
しかし、制度がある程度定着してきたら、いつまでも「教えてもらう研修」を続ける必要はありません。
次の段階としておすすめしたいのが、
「評価者研修」から「共有ミーティング」への移行です。
会社の外から正解を教えてもらうのではなく、自分たちの経験を持ち寄り、自分たちで考え、自分たちで評価制度をより良くしていく。
A4一枚評価制度では、この状態を目指していきます。

なぜ「研修」から「共有」へ移行するのか

制度を導入したばかりの頃は、評価者によって知識や経験に差があります。
そのため、まずは研修によって基本的な考え方をそろえる必要があります。
しかし、何年か運用すると、評価者自身の中にさまざまな経験が蓄積されていきます。
例えば、
「この目標設定はうまくいった」
「この声かけで部下の行動が変わった」
「この評価項目は判断しにくかった」
といった経験です。
実は、こうした現場の経験こそが大切です。
研修は「教えてもらう場」ですが、共有ミーティングは「みんなで学び合う場」です。
評価者一人ひとりが持っている経験を会社全体の財産に変えていく。
これが、共有ミーティングの大きな目的です。

① 目標の共有ミーティング

まず行いたいのが、
目標の共有ミーティングです。
A4一枚評価制度では、
経営計画から、
会社目標、組織目標、個人目標へとつなげていきます。
しかし実際には、目標設定には評価者ごとの差が出やすいものです。
例えば、
「この目標は具体的で分かりやすい」
「これは少し簡単すぎるのではないか」
「この目標は経営計画とどうつながっているのか」
といった違いが出てきます。
そこで、各評価者が設定した目標を持ち寄って共有します。
目的は、誰かの目標を批判することではありません。
良い目標の作り方を、みんなで学ぶことです。
他の部署の目標を見ることで、
「こういう考え方もあるのか」
「この表現なら分かりやすい」
という気付きが生まれます。
その結果、会社全体の目標設定の質が少しずつ上がっていきます。

② サポートシートの共有ミーティング

次に行いたいのが、
サポートシートの共有ミーティングです。
A4一枚評価制度では、評価期間中の観察と支援をとても大切にしています。
評価制度は、期末に点数を付けるだけのものではありません。
むしろ重要なのは、
評価と評価の間に、どれだけ社員の成長を支援できたかです。
そこで、サポートシートの活用状況を評価者同士で共有します。
例えば、
  • どのような声かけをしたか
  • どんな良い行動を見つけたか
  • どのような支援が効果的だったか
  • どんな場面で対応に困ったか
などを話し合います。
すると、
「自分はこう対応していたけれど、そんな方法もあるのか」
という学びが生まれます。
サポートシートは、記録することが目的ではありません。
社員の行動をよく見て、必要な支援をするための道具です。
共有ミーティングを行うことで、サポートシートが「書くだけの書類」になることを防ぐことができます。

③ 評価結果分析の共有ミーティング

評価が終わった後には、
評価結果分析の共有ミーティングを行います。
ここで大切なのは、
「誰がA評価だったか」
「誰の評価が低かったか」
だけを見ることではありません。
見るべきなのは、
評価結果から、会社や組織の状態を知ることです。
例えば、
  • 全体的に評価が高い項目は何か
  • 多くの社員が苦手としている項目は何か
  • 部署によって違いがあるのはなぜか
  • ワークルールが実践されているか
  • 経営計画の実現に必要な行動が増えているか
といったことを話し合います。
評価結果は、社員を順位付けするためだけのものではありません。
会社の「今」を知るための大切な情報でもあります。

共有ミーティングで評価者のスキルが上がる

評価者のスキルは、研修を受けるだけで上がるものではありません。
実際にやってみて、
振り返り、
他の評価者の経験を聞き、
次に試してみる。
この繰り返しによって少しずつ高まっていきます。
これはスポーツと同じです。
ルールやフォームを教えてもらうだけでは、上達しません。
実際にプレーして、振り返り、改善することで上達します。
評価者も同じなのです。

経営計画とのつながりを確認する場にする

共有ミーティングで忘れてはいけないのが、
経営計画とのつながりです。
目標の共有では、
「この目標は経営計画につながっているか」
を確認します。
サポートシートの共有では、
「経営計画の実現につながる行動を増やせているか」
を確認します。
評価結果の分析では、
「会社は目指す方向に近づいているか」
を確認します。
つまり、共有ミーティングは単なる情報交換の場ではありません。
評価制度を使って、経営計画の実現に近づいているかを確認する場なのです。

ワークルールブックを「生きたもの」にする

ワークルールブックも同じです。
作っただけでは意味がありません。
目標設定、日々の支援、評価結果の振り返りの中で、
「この行動はワークルールにつながっている」
「このルールは現場で実践しにくい」
「この行動をもっと増やしたい」
と話し合うことで、ワークルールが日常の仕事の中に入ってきます。
ワークルールブックを読むことが浸透ではありません。使われていることが浸透です。
共有ミーティングは、そのための大切な場になります。

「教えてもらう組織」から「自分たちで学ぶ組織」へ

A4一枚評価制度の導入当初は、評価者研修が必要です。
しかし、最終的に目指したいのは、
いつまでも外部の専門家から教えてもらわなければ運用できない状態ではありません。
目指すのは、
自分たちで考え、自分たちで振り返り、自分たちで改善できる組織です。
そのためのステップが、
① 目標の共有ミーティング
② サポートシートの共有ミーティング
③ 評価結果分析の共有ミーティング
です。
評価者同士が経験を共有することで、個人の経験が会社の知恵になります。
そして、その知恵が次の人材育成につながっていきます。

最後に

A4一枚評価制度において、
「評価者研修」から「共有ミーティング」への移行は、単に研修を減らすという話ではありません。
評価制度を会社自身で運用し、改善できる段階へ進むことです。
最初は研修で基本を学ぶ。
次に実践する。
そして、実践した経験をみんなで共有する。
さらに、その学びを次の目標設定やマネジメントに活かす。
この繰り返しによって、評価制度は会社に根づいていきます。
経営計画で方向を示し、
ワークルールブックで日々の行動を示し、
A4一枚評価制度で成長を確認する。
そして共有ミーティングを通じて、会社全体で学び続ける。
評価制度の運用が本当にうまくいっている状態とは、専門家がいなくても「自分たちでより良くできる状態」なのかもしれません。