【経営計画】経営理念を実現する基本方針の定め方と5つの視点
経営理念を「具体的な経営の方向」に変える5つの視点
(経営計画 × ワークルールブック × A4一枚評価制度)
経営理念をつくった後、次に考えたいのが「基本方針」です。
しかし、
「経営理念と基本方針は何が違うのか」
「基本方針には何を書けばよいのか」
と迷う経営者の方も少なくありません。
まず目的から考えましょう。
経営理念が、
「私たちは何のために会社を経営するのか」
を示すものだとすれば、基本方針は、
「その経営理念を実現するために、会社として何を大切にして経営するのか」
を示すものです。
つまり、経営理念を掲げるだけで終わらせず、実際の会社づくりへつなげる役割を持つのが基本方針です。
そして基本方針を考えるときは、次の5つの視点から整理すると分かりやすくなります。
①顧客
②商品・サービス
③社員
④会社
⑤社会・地域
この5つの視点から会社の基本的な考え方を明らかにすることで、経営理念が具体的な経営の方向へ変わっていきます。
■ なぜ「基本方針」が必要なのか
例えば、経営理念として、
「お客様と社員の幸せを通じて、地域社会に貢献する」
と掲げたとします。
とても良い理念です。
しかし、社員からすると、
「では、お客様に対して何を大切にするのか」
「どのような商品やサービスを提供するのか」
「社員をどのように育てるのか」
までは分かりません。
理念は会社の「目的」を示しますが、それだけでは具体的な経営判断まではできないのです。
そこで必要になるのが基本方針です。
経営理念という大きな想いを、会社経営の具体的な方向へ分けていく。
これが基本方針の役割です。
■ 基本方針は5つの視点から考える
基本方針を考えるときに大切なのは、売上や利益だけで考えないことです。
会社は、お客様だけで成り立っているわけではありません。
商品やサービスがあり、社員がいて、会社という組織があり、地域や社会との関わりがあります。
そこで、5つの視点から考えていきます。
① 顧客――どのようなお客様との関係をつくるのか
最初は「顧客」の視点です。
考えたいのは、
「私たちは、お客様にどのような存在として選ばれたいのか」
ということです。
例えば、
-
お客様の困りごとに親身に寄り添う
-
長く安心して付き合える関係をつくる
-
期待を超える提案を行う
-
お客様から最初に相談される会社になる
といった方針が考えられます。
大切なのは、「顧客第一」という言葉だけで終わらせないことです。
「私たちの会社にとって、お客様を大切にするとは何をすることなのか」まで考えてみましょう。
② 商品・サービス――どのような価値を提供するのか
次は「商品・サービス」の視点です。
ここでは、
「私たちは何を通じて、お客様の役に立つのか」
を考えます。
例えば、
-
品質に妥協しない
-
お客様の声を商品づくりに生かす
-
他社にはない独自の価値を提供する
-
常に改善を続ける
といった方針です。
商品やサービスは、会社の想いをお客様に届ける手段です。
だからこそ、経営理念と商品・サービスの考え方はつながっている必要があります。
③ 社員――どのような人を育て、どのような職場をつくるのか
3つ目は「社員」です。
小さな会社では、一人ひとりの成長がそのまま会社の成長につながります。
そこで、
「社員にどのように成長してほしいのか」
「どのような会社で働いてもらいたいのか」
を考えます。
例えば、
-
自ら考えて行動できる人材を育てる
-
お互いに助け合える職場をつくる
-
挑戦と成長を応援する
-
社員が誇りを持って働ける会社にする
といった方針です。
この「社員」に関する基本方針は、人事理念やA4一枚評価制度につながっていきます。
④ 会社――どのような会社をつくるのか
4つ目は「会社」です。
ここでは、
「どのような会社として成長していきたいのか」
を考えます。
例えば、
-
安定した利益を確保する
-
社長がいなくても仕事が回る仕組みをつくる
-
情報を共有し、全員で経営に参加する
-
変化に対応できる強い会社をつくる
といった方針です。
ここで重要なのは、会社を大きくすることだけを目的にしないことです。
会社が成長するとは、売上が増えることだけではありません。
人が育ち、仕事の仕組みが整い、組織としてできることが増えていくことも会社の成長です。
「個人的経営」から「仕組み経営」へ移っていくためにも、会社として目指す方向を明確にしておく必要があります。
⑤ 社会・地域――会社としてどのように貢献するのか
最後は「社会・地域」の視点です。
会社は、お客様や社員だけで成り立っているわけではありません。
地域社会や取引先、多くの人との関係の中で存在しています。
そこで、
「私たちの会社は、社会や地域にどのような形で役立ちたいのか」
を考えます。
例えば、
-
地域の雇用を守る
-
地域の活動に積極的に参加する
-
次の世代を育てる
-
事業を通じて社会の課題解決に貢献する
といった方針です。
大きな社会貢献を掲げる必要はありません。
自分たちの会社だからできることを考えることが大切です。
■ 5つの基本方針は「きれいな言葉」で終わらせない
基本方針をつくるときに注意したいことがあります。
それは、
立派な言葉をつくることが目的にならないことです。
例えば、
「お客様を大切にします」
だけでは、社員によって解釈が変わります。
そこで、
「お客様の話を最後まで聞く」
「問い合わせには迅速に対応する」
「約束したことは必ず守る」
というように、日々の行動へつなげていきます。
ここでワークルールブックが重要になります。
基本方針が「会社として大切にする方向」を示し、ワークルールブックが「日々どのように行動するか」を示す。
この2つがつながることで、基本方針が現場で実践されるようになります。
■ A4一枚評価制度で基本方針を「人の成長」につなげる
さらに、基本方針を実現するためには、それを実践できる人材を育てなければなりません。
例えば、
「お客様の期待を超える提案を行う」
という基本方針を掲げたとします。
そのためには、
-
お客様の話を聞く力
-
相手の課題を考える力
-
提案する力
が必要になります。
こうした会社が必要とする能力を、A4一枚評価制度の評価項目へつなげていきます。
つまり、
基本方針を実現するために必要な人材を明らかにし、その人材を評価制度で育てていく。
ここまでつながって、初めて基本方針は経営の力になります。
■ 「経営理念→基本方針→行動」を一本の線でつなぐ
経営計画では、それぞれの項目を別々に考えてはいけません。
大切なのは、すべてを一本の線でつなぐことです。
経営理念
↓
5つの基本方針
↓
行動理念・ワークルールブック
↓
戦略・行動計画
↓
A4一枚評価制度
↓
社員の成長と行動
↓
経営理念の実現
この流れができると、経営理念は社長だけの想いではなくなります。
社員一人ひとりの日々の仕事を通じて実現されるものへ変わっていきます。
■ まとめ
基本方針は、経営理念を実現するための「会社としての約束」です。
そのためには、
①顧客
②商品・サービス
③社員
④会社
⑤社会・地域
という5つの視点から、
「私たちは何を大切にして経営するのか」
を考えてみてください。
そして、最も大切なのは、基本方針を作って終わらせないことです。
基本方針を行動理念やワークルールブックへつなげ、さらに戦略や行動計画、A4一枚評価制度へ落とし込んでいく。
そうすることで、
経営理念が基本方針になり、基本方針が社員の行動になり、その行動の積み重ねが会社の未来をつくります。
基本方針とは、立派な言葉を並べるものではありません。
経営理念を、社員全員の仕事と行動へつなぐための橋渡し役なのです。
必要であれば次に、この内容に続くnote記事として「5つの基本方針の具体的な作り方・記入例」も作成できます。
