· 

【A4一枚評価制度】本人評価と一次評価は「別々・同時」に実施する理由

【A4一枚評価制度】

本人評価と一次評価は「別々・同時」に実施する理由

評価制度の目的を見失わないために

「評価シートを作ったけれど、部下の自己評価が高すぎて、上司が気を遣って合わせている気がする……」
「逆に、遠慮がちな部下が自分の評価を低く書きすぎていて、本当の実力が見えにくい……」
そんな評価の「すれ違い」や「遠慮」に頭を悩ませていませんか?
前回の記事では、評価を全員で集まってその場で終わらせる「その場型」の魅力についてお話ししました。
今回はさらに一歩踏み込んで、評価をより正確に、そしてお互いの成長につなげるための重要なルール、「本人評価と一次評価(上司の評価)を、別々に同時に行うこと」のメリットについて解説します!
榎本あつし先生の著書『A4一枚評価制度 改訂2版』から、その驚くべき効果と、会社を元気にする推進力(経営計画やワークルールブック)とのつながりをご紹介します。

「別々に同時にやる」ってどういうこと?

一般的な評価制度では、「まず部下が自分で評価を書き、それを上司に提出し、上司は部下の評価を見ながら自分の評価を決める」という流れが多いのではないでしょうか。
しかし、「A4一枚評価制度」がおすすめするのは、「部下も上司も、お互いの評価シートを見ない状態で、せーので同時に評価をつける」という方法です。
なぜ、わざわざ別々に、同時に行うのでしょうか? そこには5つの大きなメリットがあります。

「別々に同時にやる」5つのメリット

① 本人の評価に引きずられない!(引っ張られない)

部下の自己評価をはじめに見てしまうと、上司は無意識のうちに
「ここは低くつけると部下が落ち込むかな……」
「自己評価が高すぎるけど、本人がそう思うなら少しおまけしようかな……」
と、部下の評価に引っ張られてしまいます。
別々に書くことで、上司は自分の「客観的な目」だけで部下の働きをまっすぐ見つめることができます。

② 上司が自分の頭で真剣に考える!(真剣に評価するようになる)

事前に本人の言い分(自己評価)を見られないため、上司は「普段の部下の行動」をしっかり思い出し、自分の責任で真剣に評価シートに向き合うようになります。
これにより、上司自身の「人を観る力」が磨かれます。

③ 本人の評価の「ばらつき」に振り回されない!

部下の中には、自信満々で高めの評価をつける人もいれば、実力があるのに遠慮して低めにつける人もいます(評価スキルがまだないため、ばらつきが出やすいのです)。
上司が最初から本人の評価に引っ張られなければ、こうした部下の性格による「甘口・辛口」に振り回されることなく、一貫した基準で評価をしてあげられます。

④ 「お給料を決めるため」だけの評価にしない!(目的を見失わない)

お互いの評価を見ながらすり合わせを始めると、どうしても「今回はお給料をこれくらいにしたいから、ここを調整しよう」という、つじつま合わせ(処遇のための調整)になりがちです。
別々に同時に行うことで、「本人がどう自己分析しているか」「上司からはどう見えているか」という、最も大切な「お互いの認識のズレ(成長のヒント)」を純粋に見つけ出すことができます。

⑤ 面倒な待ち時間ゼロ!(時間を短縮できる)

「部下が書き終わるのを待って、それから上司が書いて……」というバケツリレーのような時間のロスがありません。
全員で時間を決めて一斉に書くため、評価にかかる時間が大幅にカットされます。

「別々に同時にやる」を支える3つの柱

この方法を職場で大成功させるためには、やはり会社の土台となる「3つの仕組み」が欠かせません。

1. 「経営計画」という、共通のものさしがあるから

お互いに見ないで評価をすると、「評価がまったく噛み合わないのでは?」と不安になるかもしれません。
しかし、会社の中に「経営計画」がしっかりと共有されていれば大丈夫です。
「会社が今年目指すゴールはここ」「そのために今期はこれを頑張ろう」という目標(共通のものさし)が、経営計画を通して上司と部下の間で一致しているため、別々に評価をしても大きなズレは生まれにくくなります。

2. 「ワークルールブック」が、本音のズレを受け止める安心感に

別々に書いた結果、お互いの評価に「ズレ」が見つかることは、決して悪いことではありません。
むしろ「なぜズレたのか」を話し合うことこそが、部下の次の成長につながります。
会社の目指す姿や行動の基準が書かれた「ワークルールブック(職場のルールブック)」が日頃から浸透していれば、お互いに信頼をもとに「より良く働くための、前向きな話し合い」ができるようになります。
ズレを恐れず、本音で向き合える土台がここにあるのです。

3. 「A4一枚評価制度」だから、ズレが一目でわかる

評価項目が何十個もある分厚い評価シートだと、別々に書いた後のすり合わせだけで一日が終わってしまいます。
シンプルで要点が整理された「A4一枚評価制度」だからこそ、別々に書いて持ち寄ったときに、「あ、ここの項目に対する認識がズレているね」と、話し合うべきポイントが一目でわかります。
だからこそ、短い時間で深い対話ができるのです。

まとめ:「せーの!」で始める、お互いが主役の評価制度

お互いのシートを見ないで「せーの!」で評価を書く。
一見、ちょっと勇気がいる方法に思えるかもしれません。
しかし、この方法を取り入れることで、上司は「部下の成長を真剣に見守るリーダー」へと変わり、部下は「自分の強みと課題を客観的に知るチャンス」を得ることができます。
評価制度を「ただの書類手続き」から「会社の未来をつくる前向きな対話の場」へ。
ぜひ、あなたの会社でも「別々に、同時に」スタートしてみてください!