ワークルールブックと「強化」の原理、「弱化」の原理
~なぜ良い行動は増え、望ましくない行動は減るのか~
「何度言っても行動が変わらない」
「研修をしても定着しない」
「評価制度を作ったのに期待する行動が増えない」
人事制度の構築や運用に携わっていると、このような悩みに直面することがあります。
しかし、実は人の行動には一定の法則があります。
それが、「強化」の原理と「弱化」の原理です。
難しく聞こえるかもしれませんが、とてもシンプルです。
人は良い結果につながる行動を繰り返し、良い結果につながらない行動は減っていく。
今回は、経営計画 × ワークルールブック × A4一枚評価制度という視点から、この原理を分かりやすく解説します。
なぜ人は同じ行動を繰り返すのか
まず考えてみてください。
なぜ私たちは毎日スマートフォンを見てしまうのでしょうか。
なぜお気に入りのお店にまた行くのでしょうか。
理由は簡単です。
その行動の後に、自分にとって良いことが起きるからです。
つまり、
行動
↓
良い結果
↓
また行動する
という流れです。
会社でも同じことが起きています。
「強化」の原理とは
強化とは、その行動をしたら良いことが起きるため、その行動が増えることです。
例えば、
-
お客様から感謝された
-
上司から認められた
-
仲間から感謝された
-
評価された
すると、その行動をまたやろうと思います。
会社でよくある強化の例
例えば、社員が改善提案をしたとします。
その時に、上司が「いい提案だね」と声をかける。
すると社員は、「また提案してみよう」と思います。
これが強化です。
ワークルールブックは「強化したい行動」を見える化する
ここが重要です。
会社は経営計画の中で、
-
生産性を高めたい
-
お客様満足を向上したい
-
自律的な社員を増やしたい
と考えています。
しかし、そのままでは行動になりません。
そこでワークルールブックが登場します。
例えば、
経営計画
「主体性を高める」
↓
ワークルールブック
「問題を見つけたら改善案を考える」
↓
その行動を評価する
この流れによって、主体的な行動が増えていきます。
A4一枚評価制度は「強化装置」
実は、A4一枚評価制度の本質は、良い行動を強化する仕組みにあります。
例えば、
ワークルールブック
「情報を共有する」
↓
A4一枚評価制度
「チームワーク」として評価
↓
本人が認められる
すると、情報共有が増えていきます。
「弱化」の原理とは
一方で、弱化とは、その行動をしても良い結果が得られなくなり、その行動が減ることです。
例えば、以前は長時間残業すると「頑張っているね」と言われていた会社があったとします。
すると、残業する人が増えます。
なぜなら、残業が強化されているからです。
しかし、会社が考え方を変え、
「長時間働いたこと」ではなく、「効率よく成果を出したこと」を評価するようになるとどうでしょうか。
すると、残業そのものは減っていきます。
これが弱化です。
実は会社は知らないうちに行動を強化している
ここが非常に重要です。
会社は意識しなくても、毎日何かを強化しています。
例えば、
会議でいつも発言する人だけを褒めると、発言する人は増えます。
逆に、
改善提案を出しても何も反応がなければ、提案は減ります。
つまり、
会社は評価制度だけでなく、日常の関わり方でも行動を強化しているのです。
ワークルールブックと強化・弱化の関係
ワークルールブックは、単なるルール集ではありません。
本来の役割は、どんな行動を増やしたいのかを明確にすることです。
例えば、
-
情報共有を増やしたい
-
改善提案を増やしたい
-
顧客対応力を高めたい
これらを具体的な行動として書きます。
そして、A4一枚評価制度で評価する。
すると、良い行動は強化されます。
一方で、会社が望まない行動を評価しなくなれば、その行動は少しずつ減っていきます。
これが弱化です。
スポーツで例えると分かりやすい
野球を例に考えてみましょう。
監督が、ホームランだけを褒めると、選手はホームランを狙います。
しかし、
送りバントや進塁打も評価すると、チームプレーが増えます。
会社も同じです。
人は評価される行動を繰り返す。
だからこそ、
何を評価するかが重要なのです。
まとめ
ワークルールブックと強化・弱化の原理は深く関係しています。
強化の原理
良い結果につながる行動は増える
例
-
改善提案を評価する
-
情報共有を認める
-
挑戦を称える
↓
その行動が増える
弱化の原理
良い結果につながらない行動は減る
例
-
長時間残業を評価しない
-
抱え込みを評価しない
-
指示待ちを評価しない
↓
その行動が減る
経営計画・ワークルールブック・A4一枚評価制度の関係
経営計画
↓
どんな会社をつくりたいか
ワークルールブック
↓
どんな行動を増やしたいか
A4一枚評価制度
↓
その行動を認め、強化する
ワークルールブックの本当の役割は、「ルールを守らせること」ではありません。
経営計画を実現するために、良い行動を増やし、望ましくない行動を減らすことです。
だからこそ、ワークルールブックは組織文化をつくる強力な道具になるのです。
