「評価しない評価制度」が生まれた背景を教えてください

――なぜ今、“評価しない”という考え方が必要なのか――
「評価しない評価制度」と聞くと、
  • 「評価をやめるの?」
  • 「給料はどう決めるの?」
  • 「甘い制度では?」
と思われることがあります。
しかし実際には、この制度は“評価を放棄した制度”ではありません。
むしろ、
従来の評価制度では、人も組織も成長しにくくなってきた。
その反省から生まれた制度です。
今回は、「評価しない評価制度」が生まれた背景について、できるだけわかりやすく整理します。

■ 従来の評価制度で起きていたこと

多くの会社では、
  • 目標を決める
  • 点数をつける
  • ランクを決める
  • 昇給・賞与を決める
という流れで人事制度を運用してきました。
もちろん、これは会社を良くしたいから始まった仕組みです。
しかし、実際の現場では次のような問題が起きていました。

「評価されるための行動」が増える

例えば、
  • 減点されないようにする
  • 無難な行動しかしない
  • チャレンジを避ける
  • 上司に合わせる
という状態です。
本来は、「会社を良くするための行動」を増やしたかったはずなのに、
いつの間にか、「評価されるための行動」が増えていきました。

人材育成より「点数合わせ」になる

評価制度では、
  • 点数
  • ランク
  • 達成率
が中心になります。
すると面談でも、
  • なぜこの点数なのか
  • 他の人より上か下か
という話が中心になります。
その結果、「どう成長するか」より、
「どう評価されるか」に意識が向いてしまいました。

経営計画が“数字”だけになる

経営計画
本来、経営計画は
  • どんな会社を目指すのか
  • どんな行動を大切にするのか
を示すものです。
しかし評価制度と結びつくと、
  • 売上
  • 利益
  • 数字目標
だけが強調されやすくなります。
すると、「何を大切にして働くか」が見えなくなります。

■ そこで生まれたのが「評価しない評価制度」

こうした背景から、
「人を点数で管理するより、行動と成長を支える制度が必要ではないか?」
という考え方が生まれました。
それが、「評価しない評価制度」です。

■ この制度の考え方

評価しない評価制度では、
  • 人を点数で比べない
  • 良い・悪いを裁かない
  • 行動を見て、言葉で支える
ことを大切にします。

■ 経営計画を“行動”につなげる

経営計画
例えば、
「お客様を大切にする」
という方針があったとします。
評価しない制度では、
  • どんな行動がお客様を大切にするのか
  • どんな判断を増やしたいのか
を具体的にしていきます。
例えば、
  • 最後まで話を聞く
  • すぐに返事をする
  • 困っている背景を確認する
などです。
つまり、経営計画を“行動”に変えていくのです。

■ ワークルールブックの役割

ワークルールブック
評価をなくすと、
「何を基準に判断すればいいの?」
という不安が出ます。
そこで使うのがワークルールブックです。
これは、「この会社では、どう考え、どう行動するか」を書いたものです。
例えば、
  • 迷ったらお客様を優先する
  • スピードより信頼を大切にする
など、判断の考え方を共有します。

■ 「評価」ではなく「対話」を増やす

評価しない評価制度では、点数をつける代わりに、
  • 振り返り
  • フィードバック
  • 日常対話
を増やします。
そこで、
  • どんな行動をしたか
  • なぜそう判断したか
  • 何ができるようになったか
を言葉にしていきます。

■ この制度の本当の目的

この制度の目的は、「評価をなくすこと」ではありません。
本当の目的は、
  • 人材育成
  • 動機づけ
  • ベクトル合わせ
を通じて、社員のパフォーマンスを高めることです。
そしてその結果、
  • 業績の向上
  • 理念の体現
  • 良い風土づくり
につながっていきます。

■ まとめ

「評価しない評価制度」は、
従来の評価制度を否定したいから生まれたわけではありません。
“どうすれば人がもっと成長し、自分で考え、前向きに動けるか”
を考え続けた結果、生まれた制度です。

■ 一言で言うと

「人を測る制度」から、「人と組織を前に進める制度」へ。
それが、「評価しない評価制度」の考え方です。