· 

「評価しない評価制度」において「範囲給制度」の作成方法を教えてください

とても良いテーマです。
**「範囲給制度」こそが、「評価しない評価制度」を“処遇面で成立させる最後のピース”**です。
ここを誤ると、評価をやめた瞬間に「給料はどう決めるのか?」で止まります。
以下では、
経営計画/#ワークルールブック/#A4一枚評価制度
の思想に沿った、評価に戻らない範囲給制度の作成方法を、実務手順で解説します。

経営計画×ワークルールブック×A4一枚評価制度

🧭 評価しない評価制度における範囲給制度の作成方法


【前提】評価しない制度における「範囲給」の役割

まず定義をはっきりさせます。
範囲給制度とは、
評価点で給与を決める制度ではなく、
「役割に応じた処遇の上限と下限」を示す制度である。
  • 昇給=評価点アップ ❌
  • 昇給=役割更新・成長の進展 ⭕
👉 範囲給は評価の代替装置です。

Step1|役割等級制度を先につくる(必須)

範囲給制度は、単独では作れません
必ず、次が先に必要です。
  • 役割等級制度(3〜5段階)
  • 各等級の役割定義(判断レベル・影響範囲・責任)
範囲給は「人」に紐づけない。
役割等級に紐づける。

Step2|各役割等級に「給与レンジ」を設定する

ここで初めて金額を扱います。

範囲給の基本構造

  • 下限:その役割を最低限果たせる水準
  • 上限:その役割を十分に果たし切っている水準

例(イメージ)

役割等級 下限

中央

上限

等級1

220,000

240,000 260,000
等級2 260,000 290,000 320,000
等級3 320,000 360,000 400,000
等級4 400,000 450,000 500,000
👉 評価ランクは一切不要
👉 あくまで「範囲」を示す

Step3|範囲内の位置づけを「成長段階」で表現する

評価しない制度では、
「低い・高い」という言い方をしません。

範囲内の考え方

  • 初期段階:役割を理解し始めた段階
  • 定着段階:再現性をもって果たしている段階
  • 発展段階:役割を超えた影響を出し始めた段階
👉 点数ではなく、状態表現を使う

Step4|範囲内昇給のルールを明確にする

ここが最大の誤解ポイントです。

評価しない制度での昇給ルール

❌ 評価が良かったから上がる
役割の再現性・安定性が高まったから上がる

昇給判断の視点(例)

  • 同じ役割行動が、迷わずできるようになったか
  • 他者への影響・支援が増えたか
  • 判断スピード・質が安定したか
👉 これはパフォーマンス・フィードバックの内容から判断します。

Step5|上限に近づいたときの設計(最重要)

範囲給制度で必ず必要なのが、ここです。

上限に張り付くと起きる問題

  • 昇給が止まる
  • モチベーション低下
  • 評価復活要求が出る

解決策

上限=次の役割への入り口
  • 上限付近=次等級の役割行動が出始めている状態
  • 昇格の対話を始めるタイミング
👉 範囲給は昇格制度と必ず連動させる

Step6|経営計画との接続(評価の代替)

経営計画

範囲給制度が「納得」されるかは、
経営計画とつながっているかで決まります。

伝え方(例)

「このレンジは、
今年の経営計画を実行するために
その役割に期待している重さを表しています」
👉 給与=市場価値だけでなく
👉 経営上の役割価値

Step7|ワークルールブックに必ず書くこと

ワークルールブック

評価しない制度では、
お金の決まり方を“曖昧”にしてはいけません。
必ず明文化します。
  • 範囲給制度の考え方
  • 評価点を使わない理由
  • 範囲内昇給の考え方
  • 昇格との関係
👉 ブラックボックス化が最大の敵

よくある失敗と回避ポイント

失敗

回避策
人別にレンジを作る 役割等級別に統一
実質評価運用になる
成長段階・状態表現
上限で詰まる
昇格と連動
説明できない

🟦 全体を一言でまとめると

**「評価しない評価制度」における範囲給制度とは、
評価で給料を決める仕組みではない。
役割の重さと、
その役割を果たす再現性に応じて、
処遇の“幅”を設計する制度である。**

🎯 A4一枚評価制度的まとめ

  • 評価点は使わない
  • 役割等級が軸
  • 範囲給は「状態」で語る
  • 昇給は成長、昇格は役割
  • 経営計画と必ず接続する