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「評価しない評価制度」で、賃金制度は作れますか

「評価しない評価制度」でも、賃金制度は十分に作れます。

ただし、その考え方は「成果に応じて差をつける」ではなく、

「役割と成長段階に応じて報いる」という発想に転換しなければなりません。

1. なぜ評価なしで賃金制度が成り立つのか

従来の賃金制度は、評価点を処遇に結びつける仕組みでした。

「評価=点数」→「点数=昇給・賞与の幅」

ところが、「評価しない評価制度」では点数を廃止します。

その代わりに、「役割(貢献領域)と成長段階」を基準に報酬を設計します。

つまり、

「何点取ったか」ではなく、「どの役割を担い、どう成長しているか」 で処遇を決めるのです。

2.賃金制度の軸を「評価」から「役割」へ

評価を外すと、「処遇の根拠がなくなるのでは?」と心配されますが、

実は逆で、役割等級を明確に定義すれば、むしろ納得感は高まります。

観点

従来の評価型

評価しない型(役割ベース)

処遇の根拠

 評価点・上司判断

担っている役割の重さ・広さ
昇給の基準 評価結果に応じて 役割の拡大・成長
対話の内容 点数と順位の確認 貢献と成長の共有

メッセージ

「成果を出せ」 「役割を果たせ、成長せよ」

このように、「公平性」よりも「納得性・再現性」を重視するのが特徴です。

3. 実践例:役割 × 成長段階 の二軸設計

(1)役割等級を定義する

例:

  • 等級1:自分の業務を正確に遂行できる
  • 等級2:周囲と協働して成果を出せる
  • 等級3:チームを導き、仕組みを改善できる
  • 等級4:全社的な価値を生み出す

(2)成長段階(行動レベル)を設定する

例:

  • A:基準行動を安定して発揮できる
  • B:改善や工夫が見られる
  • C:他者を巻き込み、成果を広げている

この「役割×成長段階」のマトリクスで、基本給レンジを定義します。

例:等級3-B → 月給34万円

  等級3-C → 月給36万円(役割を深めて昇給)

こうすれば、点数がなくても処遇を説明できる構造になります。

4.「評価しない制度」と賃金制度をつなぐポイント

①評価点の代わりに「役割宣言シート」を運用する

 社員が「自分の役割と成長テーマ」を宣言し、上司と合意。

 半年後にその役割がどの程度果たされたかを対話で確認します。

②昇給判断は「役割の更新」として行う

 「評価Aだから昇給」ではなく、「役割3→4に上がったから昇給」とする。

③賞与は「貢献の分配」として扱う

 業績に応じてチーム単位で分配し、個人差は小さくする。

 個人の貢献は金額ではなく、承認と共有で報いる。

5. まとめ

「評価しない評価制度」でも賃金制度は作れる。

その条件は、「点数ではなく、役割と成長を基準にする」こと。

点数を手放すことで、むしろ
  • 処遇根拠がシンプルに
  • 社員の納得が高まり
  • 上司の運用負荷が軽くなり
  • 成長対話が活性化する
という副次的効果が生まれます。